国内の国際化、多文化化、価値の多様化の進展に伴う規範意識の変化、年少者の公共意識の希薄化、「いじめ」など、現代の教育課題に応えるために、「市民性教育/citizenshipeducation」の理論と実践を「自尊感情(self-esteem)」という観点から考察することによって、「日本型市民性教育」を開発しようとするものである。そこで、(1)これまでの申請者の研究成果を、英国における市民性教育と「PSHE/Personal social and healtheducation」の理論と実践を準拠枠に検証し、(2)多文化共生社会の市民に不可欠な、平等や公正、非暴力、公共性などの規範意識を含む態度、および知識・スキルを、特に初等・中等教育の現場で戦略的に育成するための仮説としてのカリキュラム(発達課題と教育的関与)を作成し、これを実際に教育現場(小・中・高校一貫校)で検証すること、そして(3)これからの日本の初等・中等教育における市民性育成のための教育カリキュラムを示すと同時に、具体的な実践開発の課題を明らかにする。
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