本研究は、米国の哲学者・教育学者であるデューイ(J. Dewey)が設立・運営に携わったシカゴ大学附属実験小学校(1896〜1904年)(以下、「デューイ実験学校」や「実験学校」と表記)の学校経営と教師の力量形成過程に焦点を当てた研究である。 平成20年度の中心的な活動は、(1)デューイ実験単校と直接的及び間接的に関わる文献の収集や、デューイ実験学校め授業実践記録(『実験学校活動報告」)を中心とした一次資料を収集すること、(2)これらの収した資料を分析・調査しその成果を学会等で発表することであった。 (1)の作業は次の通りである。まず、内で入手可能なデューィ実験学校及びデューイやヤング(E. F. Young)に関する史資料や文献、また当時の時代的・歴史的背景を知るために米国初等教育に関する教育内容・方法及び学校経営と教師分野の関連図書を収集した。次に、『実験学校活動報告』を含んだ一次資料の選定作業を行い、シカゴ大学・レイゲンシュタイン図書館の特別コレクションを訪問し、1899年度(1899年10月〜1900年6月)と1900年度(1900年10月〜1901年6月)の『実験学校活動報告』の内容を入手した。 (2)の作業は次の通りである。まず、デューィ実験学校の学校経営のスタイルを、カリキュラム・デザインに焦点を当ててその一端を分析し明らかにした(『愛知江南短期大学紀要」)。また、これと関連して、デューイ自身の思想における「える(teaching)」・「教授(instruction)」の営みの本質的側面を吟味した(「地域協働研究所年報 : 地域協働』)。 なお、上記の活動と関連した活動としては、カリキュラム・リーダーシップのモデル開発に関する内容を日本カリキュラム学会にて報告(口頭発表)したことなどが挙げられる。
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