本研究は、米国の哲学者・教育学者であるデューイ(J. Dewey)が設立・運営に携わったシカゴ大学附属実験小学校(1896~1904年)(以下、「デューイ実験学校」や「実験学校」と表記)の学校経営と教師の力量形成過程に焦点を当てた研究である。 平成21年度の中心的な活動は、(1)平成20年度に引き続き、実験学校に直接的及び間接的に関連する文献や史資料を収集すること、(2)それらの史資料を用いながら、平成20年度より行ってきた研究活動を総括的に整理・検討し、その得た成果を学会発表や論文で発表すること、だった。 (1) の作業は、主として国内にて行った。まず、デューイ及びデューイ実験学校だけでなく、デューイ及び実験学校と密接に関わったE・F・ヤング(E.F. Young)に関する文献や資料、さらには、教師論、学校経営に関する著作・論文を収集した。また、今日的な課題も視野に入れるために、教育学やその諸領域(哲学や社会学など)に関する文献も入手し、重層的・横断的アプローチの導入も図った。 (2) に関しては、ヤングの教師論を分析し、デューイ実験学校における教師の力量観と学校運営との接点を探った。その成果を関西教育学会にて報告(口頭発表)し、論文としてまとめた(『関西教育学会年報』2010年6月公刊予定)。 なお、上記と関連する形で、以下の3つの活動があげられる。それは、(1)今日におけるカリキュラム・リーダーシップに関する研究成果を国内外の学会(日本カリキュラム学会、IAACS)で発表したこと、(2)教師に求められる資質・力量観に着目しながら、生活科の意義と課題を幼・保・小連携の観点から整理したこと(『地域協働』)、(3)実習に関するハンドブックの作成をまとめた実践報告の作成(『愛知江南短期大学紀要』)、である。
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