【具体的内容】平成20年度は教育行政の分権改革に関して、教育委員会に焦点を当てた資料収集活動を重点的に行った。金沢市、豊田市、出雲市の教育委員会会議録を収集・整理したほか、金沢市については教育改革の中心的人物の一人である教育長(当時)にインタビューを行ったほか、現地において行政資料や新聞記事等の資料収集を行った。なお、仙台市についてはすでに収集した資料の再整理等を行った。政治学・行政学理論、分析手法の摂取については、政策共同体論、ガバナンス論、本人-代理人理論の摂取を行った。 【意義・重要性】分権改革によって地方自治体は先進的な教育政策を行うようになった。教育行政学では分権改革以降、このような現象の紹介に努めてきた。ところが個々の自治体の個別の取組を紹介する段階に止まっており、次の2つの点で研究の発展が望まれる。第1に、アクター間の関係を析出することである。分権改革以降の教育政策の立案、実施には多くのアクターが関与するため、教育委員会(教育長、教育委員、事務局職員)アクターに加えて、首長(部局)、議会という政治・行政アクターの位置づけを明らかにする必要がある。第2に、上記アクター関係を一般化するための理論的分析を行うことである。平成20年度の研究成果はこれら2つの課題を達成するための準備作業を行うことであり、その目的は十分に達成された。
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