【具体的内容】平成21年度は次の成果をあげることができた。第1にガバナンス改革の視点から日本の教育行政における分権改革の意味とインパクトを検討した。分権改革により地方政府の政策選択の自由度が高まった結果、首長が教育政策に対して関与するインセンティブが高まったことを明らかにした。その帰結として首長による教育政策への関与という現象を析出した。第2に分権改革が対象とした既存のアクター間の関係を政策共同体論の観点からデータ収集を行った。すなわち文部省時代の文部省主催の会合や研究指定校を定量的なデータセットにした。 【意義】教育行政学における分権改革研究は個別自治体の紹介にとどまっていたのに対して、本研究はガバナンス改革という分析視角を援用して、分権改革を理論的に理解することに成功した。 【重要性】本研究の重要性は教育行政学の実証研究の推進と理論化を図った点にある。このことを達成する上で、政治学、行政学、政策科学の各分野の研究者との研究交流を積極的に行った。本研究の終了後も、この研究者のネットワークを活用しさらなる研究の発展を期する基盤が構築できた。
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