今年度は、アクレディテーションとアメリカのリベラル・エデュケーション(教養教育)、および学士課程教育との関係に重点を置いて調査研究を行った。具体的な調査として、アクレディテーション団体(西部地区大学基準協会、アメリカ教養教育協議会)と教養教育に関わる全国団体(アメリカ大学・カレッジ協会、アメリカ理事・卒業生協議会)への訪問調査および資料分析を行い、合わせて、個別大学におけるアクレディテーションと質保証の活動について、訪問調査・資料分析を行った(研究大学の事例としてカリフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学、リベラルアーツ・カレッジの事例としてセントジョンズ・カレッジを取り上げた)。 研究成果としては、2つの論考と4つの学会発表を通して、以下の3点に関する検討を行った。 (1)調査対象とした大学諸団体の活動を参考にしながら、アメリカにおけるリベラル・エデュケーションの考え方について概念整理を行い、学士課程教育の評価の枠組みについて検討した。 (2)1980年代以降のアメリカにおいて、学士課程教育に関する議論がいくつかの異なる流れを有していたことを明らかにし、そこにおいて学士課程教育の評価の枠組みにどのような異同がみられるかについて検討した。 (3)アメリカの高等教育機関の多様性について、その歴史と現状を概観し、それに即して学士課程教育やその評価のあり方に多様性がみられること、同時にそこには機関の特性を超えた共通性・統合性を志向する動きも指摘できることを明らかにした。
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