本研究では、近年、目覚ましい展開を見せている中国の国際教育政策の諸相を(1)中国政府の国家公費派遣留学政策、(2)海外留学者の帰国奨励策、(3)外国人留学生教育政策、(4)対外中国語教育政策の4点を中心に検証し、中国の国家戦略の一端を国際教育政策の視点から解明しようと試みたものである。改革開放が開始された1970年代後半から、1990年代にかけて、中国の国際教育交流は、私費留学生の派遣・受け入れなど、民間資本の拡大により、飛躍的な発展を遂げてきた。しかし、21世紀に入り、中国の経済力、国力が格段に向上する中で、中国政府は、国際教育政策を文化、外交、経済政策と密接に関連付け、これまで以上に国家主導で、国際教育政策を推進し、高度人材の育成や、「親中家」の育成、世界における中国語の普及などを目指して、極めて戦略的な施策を講じていることが明らかになった。
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