2008年度は、(1) 高度成長期の職業教育・進路教育の実践・政策に関する資料収集、ならびにそれらの分析、(2) これまであまり整理されてこなかった職業教育・進路教育を分析するための理論的枠組みを精査することが中心となった。 (1) については、まず、資料収集に必要なノート型パソコンを購入した。また、古書店を介して、産業訓練校の貴重な歴史的資料や、当時の教育運動団体が発行していた貴重な雑誌資料をまとまって入手することができた。また、研究代表者が大学を移籍したこともあって、インタビュー調査はスムーズに進まなかったが、当時の教育をよく知っている当事者とも継続的に連絡を取っており、新年度早々にはインタビューを段取りをとってある。 また、教育史研究者の研究会にも継続的に参加し、入手した資料の分析結果を報告し、検討を受けた。まだ中途段階での報告に過ぎないが、おおむね、好意的に評価されている。この研究会では、「高度成長期における青年の社会的自立」をテーマに調査研究を進めており、出版計画も進めている。 (2) については、バジル・バーンスティンの<教育>言説理論を検討し、その中に職業教育・進路教育を位置づける作業を行っている。その第一弾として、「職業教育という<教育>言説-バーンスティン理論における職業教育の機能と様態」『<教育と社会>研究』第18号、「<移行>の教育社会学」『教育社会学』(久冨・長谷川編、学文社)を発表した。また、その後もバーンスティン理論に関わる研究会に参加しながら、継続的に理論的課題にも取り組んでいる。
|