本研究の目的は、大学教育のレリバンスについて、とくにキャリアとの関係に焦点を当てながら、明らかにすることである。具体的な課題の設定にあたっては、研究代表者自身が関わってきた研究プロジェクトの成果である「まなび習慣仮説」を出発点とした。「まなび習慣仮説」とは、工学系の大卒者に実施した質問紙調査の分析から抽出した「大学教育とキャリア」との関係に関する1つの仮説であり、「大学時代の学習経験は、現在のキャリアに直接的な影響は与えないが、現在の学習経験を経由することによって、間接的に影響を及ぼしている」と考えるもりである。 本研究は、対象を工学系から経済・経営系に切り替え、この「まなび習慣仮説」が文系でも実証されるかどうかを検討する。そのために、本年度は次の2点の作業を行った。 (1)いくつかの経済・経営学系学部に調査協力を依頼し、1大学から協力を得ることができた。12〜1月に質問紙調査を設計、2月に調査対象者の選定と発送準備をし、3月に調査を実施した。現段階で回収作業はほぼ終了しており、これからデータ入力作業に入る予定である。 (2)並行して、調査会社に協力を依頼し、調査会社のモニターから経済・経営系学部の卒業生をスクリーニング、約500名を対象に(1)と同じ内容の調査を平成21年度4月に実施する予定である。平成20年度は、そのための準備と調整を行った。 学部単位の調査だけでなく、調査会社を通じての調査も同時に行うという変更が加わっているものの、研究目的どおりの分析ができるよう順調に作業が進んでいるものと評価されうる。
|