研究概要 |
本研究では、特に事中指導の段階において、なんらかの形で話し合いを視覚情報化させる手段を「視覚情報化ツール」と呼び, 国語科での指導方法の開発を行った。本年は, ツールの活用に関する理論的基盤の検討を主に文献研究によって行った。研究費は, そのための文献購入, 学会発表旅費として使用された。大学生における話し合いの視覚情報化ツールの効果についてのケーススタディ的な分析をした。 その結果, 話し合いのメモの取り方について, 量的な面から見れば, メモの総記述化を指示された群は, メモの量も当然多く, 事後の報告量もやはり増えている。しかし, メモの図示化を指示された群では, 図示化によりメモ量は少なくても, 「報告書」の量は総記述化群とは変わらなかった。また, 報告書の記述内容をテキストマイニングにより分析した結果, 図示化群は総記述化群に比ベて, 話題の要約や論点の提示, 意見間の関係の明示がよく行われていることが明らかとなった。つまり, 量的には話し合いを図示化しても特段の問題はないという仮説を立てることができる。また内容面においてもツールの使用により学習者の認知がより論理的に行われていると示唆される。 本事例の分析について, 第52回日本読書学会において報告をおこなった。
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