本研究は、小・中学校の音楽鑑賞において視覚的イメージを関わらせることによって、学習者に分析的で創造的な音楽聴取を促すことを目標とした指導法の開発を目的としている。音楽の諸要素を聴き取れることを促せるような教材CDを作成することと、音楽の構造(特にポリフォニー)について視覚的に感じ取ることができる教材を作る事を目的としている。特にパウル・クレーは音楽を視覚化した作品を多く描いているので、彼の音楽に関する作品について調査研究により教材内容を考えたい。 平成20年度は、分析的で創造的な聴き方についてより明らかにするために、大学の授業において鑑賞時に視覚的表現をさせ、その作品に対するコメントを録音させてもらった。その結果明らかになったことは、楽器の音色の聴き分けは、特に管楽器に対するものが困難であることが明らかになった(何らかの管楽器に携わっていない場合)。 また、パウル・クレーの作品と音楽に関する最新の文献を入手し、翻訳してもらった。 具体的な成果 1、楽器の音色を聴き分けるための教材CDを作成するためのレコーディングを約半分完了。21年度は大学構内にスタジオができたため、そこで教材CDを完成させたい。 2、パウル・クレーの絵画作品をいくつかのカテゴリーに分類した。それには、「視覚デザインによるもの」と「技法」が大きなカテゴリーになることが明らかになった。しかしもう少し資料収集を進めて、細かいカテゴリーを示し作品も分類することが21年度の課題である。
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