本研究は、小・中学校の音楽鑑賞において視覚的イメージを関わらせることによって、学習者に分析的で創造的な音楽聴取を促すことを目標とした指導法の開発を目的としている。 まず、第一の目的である、音楽の要素の特徴を感じ取る為の教材音源の作成に関しては、「音色」に関するものは完成させ、大学の授業においては使用し、その有効性を明らかにした。 第二の目的である、パウル・クレーの絵画で音楽に関わるものを全て集め、傾向や内容で分類し、彼の音楽絵画に関する資料を作成することについては、パウル・クレーの絵画と音楽の関わりについて文献調査を行った。パウル・クレーの作品と音楽に関する最新の論文等から情報を得て、新たな分類の視点を導いた。それは、クレーが、音楽的構造を絵画に援用している部分として、「時間」に伴う「重なり」と「動き」、「線」と「色彩」が重要な視点であるということである。これにより、21年度、彼の音楽的絵画を「視覚デザインによるもの」と「技法」によって分類したが、それに「時間」に伴う「重なり」と「動き」、「線」と「色彩」の視点も加味して、彼の音楽的絵画を分析・分類した。これを音楽構造の理解の一助として音楽鑑賞教育での教材として使用できるものにまとめるのが、22年度の課題である。また、学習者に、音楽鑑賞時の視覚的イメージを言語表現させたものを録音し分析したことにより、これらの絵画の中で、どの絵画をどのように授業で用いることが効果的かを考察した。
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