研究概要 |
平成23年度は、高等学校における授業を実施し、主に話し合い活動を記録、分析した。また、小学校4年生のクラスで実施した授業の話し合い活動と文章を分析した。それらを論文に発表するとともに、前年度までに実施した中学校の授業で書かれた文章を分析し学会において発表した。 高等学校の2年生のクラスの授業では、教科書教材の評論文を読み、ポイントを整理しながら話し合いを通して書くことにつなげることを行った。話し合いの過程では、「論旨の理解」を交換し合う、「要約をする」といったはたらきをするメタ談話が見られた。また、参加者の「提案」によって談話が新たに展開されること、そして書き手が自らの考えを一貫させようとするパターンが見られ、話し合いで生成されたテクストの共有が認められた。 小学校4年生のクラスの授業では、ラジオニュースを聞いて要約し、話し合い活動を通して意見文を書くことを行った。話し合いに際しては、小学校6年生と中学校1,2年生の授業で提示した「書くことの「足場づくり」」の談話に基づく問いの方法を提示したが、学習者にはやや戸惑いが見られ教師が補足的な説明を加える必要が生じた。話し合いの過程では、ラジオニュースの情報の範囲に即した話題が選ばれる傾向が見られ、談話の展開は話し合いを進める手続きに沿ったものとなっていた。話題は限定的であるものの、話し合いの進行の手続きが明示化され、結果として多くの発言がなされ、書かれた意見文にも発言が反映されていた。意見文については、題材について直接に考えを記述する場合と、ラジオニュースの聞き手としてニュースから得られた情報であることを明示して記述する場合が認められた。
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