研究概要 |
本研究の今年度の成果として, 第1に, フィールドワーク・現地調査および文献・資料の分析から, 国内外の防災教育の事例を整理した, 国内では, 日本で唯一の環境防災科を有する兵庫県立舞子高校および特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワークの防災教育への取り組みについて, 継続的なフィールドワーク, 聞き取り調査, ドキュメント分析を実施した. また, 九州地域の教育政策について教育委員会への聞き取り調査を実施した, さらに, 国外においては, 四川農業大学, 中国社会科学院らの研究者と協力し, 四川大地震被災地の復興状況調査, および, ネパールで防災教育を実施する代表的なNPOであるNSET(National Society for Earthquake Technology-Nepal)の活動事例を調査した. 第2に, 防災教育に関する研究会, および, 図上訓練等の防災訓練への参加を通じて, 防災教育に求められる理論と実践について検討した, 防災研究者, 実践家, 学校教員, マスコミ関係者をメンバーとする研究会からは, 国内外の様々な取り組みを題材として, 防災教育に関する最新の理論的知見を得た. また, 防災訓練では, 東海地震を想定した情報伝達や救援体制について, 実践的知見を得た. さらに, 防災NPOが実施する地域防災への取り組みからは, 地域と学校の協力体制について知見を得た. なお, これらの成果の一部は9月の日本教育社会学会第60回大会において発表した. 上記の研究成果は, 防災教育を学校あるいは地域(およびNPO)のみに限定せず, 両者の協働関係を検討した点, および, 理論と実践の両者の視点から検討した点において意義があると考える.
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