平成23年度の課題は、(1)オランダにおける小学校英語の指導法の特徴と内容を整理してまとめること、(2)平成22年度に行った講義・演習の経験をもとに、チェックシートの修正、授業内容やタスクのさらなる検討を行うことであった。このうち、(1)についてはオランダの小学校教員養成課程で広く普及している教授モデル(4段階モデル)を参考にしながら日本の外国語活動の文脈に合わせた指導法の提案を行った。また、オランダの小学校教員向けに開発された研修ツール(Four-Leaf Language Clover)の内容から得られる示唆をまとめた。(2)については、外国語活動の指導者に必要な資質・能力をまとめたチェックシートを整理し、学習目標を意識させながら様々なタスクを行った。昨年度に引き続き、既存の活動をアレンジして発表するプロジェクトも行った。また授業内レポートや討議を通して教員と学生あるいは学生同士の対話を促した。今年度は模擬授業の準備として段階的な指導に力を入れた。まず、実践例の映像を視聴して批評を行い授業づくりのイメージを具体化した後、4段階モデルを念頭におきながらゲーム等の活動を実際に行い、その目的と用い方について理解を深めた。このような準備をした上で、学生は45分の模擬授業の指導案を作成し、授業を行った。昨年度と同じ項目を用いて学生にアンケート調査を行ったところ、チェックシートに基づく授業レポートと教員からのコメントにより学習目標が明確になり理解度が高まったこと、プロジェクトを通して講義で得た知識をすぐに活用できたこと、模擬授業と討議を通して外国語活動を担当することへの不安がかなり軽減されたこと、などの点で成果が確認された。また、このシラバスを実践する前と比べて学生の授業外学習時間がかなり増加した。2年間にわたる継続的な実践に基づき、シラバスの有効性が検証された。
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