規模、保育形態の異なる3園の私立幼稚園による研究協力を受け合計21回訪問し、事例検討および保育コンサルテーションを通して述べ200以上の相談事例を収集した。いずれの園でも、発達障害が疑われ、保育上で配慮を要する幼児を一定数抱えており、保育者からの相談は、各幼稚園で日々取り組んでいる問題に直結したものであった。具体的には、以下のような成果を上げた。 (1) 200を超す相談事例から、次年度に幼稚園が発達障害の疑われる子どもの支援を行うのに活用可能なガイド作成のための基礎データを収集することができた。今後事例を分類、分析し、一般化できる支援の方法を抽出する。 (2) 規模や体制の異なる複数の園での相談により、規模や保育体制の違いが、発達障害の疑われる子どもの生活環境としてどのような利点や効果を生むのか検討した。(3) 保育者へのアンケート実施により、発達障害の疑われる子どもの実態およびそれぞれの保育者のレベルでの問題意識や保育上の配慮の現状について明らかにした。特に、保育者の経験年数によって、問題意識には差があり、保育への自信や保護者との関係に悩む姿が明らかになった。 (4) 継続的に相談を行うことにより、当該の子どもおよび子ども集団の継時的な変化や、子どもをとりまく関係機関の連携状況についても、把握することができた。 (5) 保育コンサルテーションについて、保育者による評価を実施したところ、保育者が日々の保育を振り返り、子どもの状態を捉えなおし、保育への自信を高め子どもを抱えられるのに一定の効果があったことが検証された。
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