本年度はexotic Deligne-Langlands対応に現れる多様体の幾何学構造、および対応自身の表現論的構造を調べた。 幾何学サイドでは我々の枠組みの一つの説明が標数2における斜交群の冪零錐の非自明な標数0へのリフトとして与えられる事を示した。この事は従来代数群の表現論の理論の中で「悪い標数」として避けられてきた部分が「良い標数」として盛んに研究されていた部分よりもある意味で素直であるという事を示唆する為、意外な結果であるとも言える。その現から導かれる事実としては標数2での斜交冪零錐の正規性、exotic版Springer表現と通常の斜交群のSpringer表現の基底を含めた標準的な同型、等を示した。後者の応用としては実簡約群の表現論において非常に基本的なcoherent continuation表現の構成要素を奇直交群、斜交群の場合だけではあるが全ての表現に対して(少なくともひとつ)求めたことが挙げられる。(論文"Deformations of nilpoteht cones and Springer correspondences"として投稿、accept済。) 表現論サイドでは我々の枠組みにおいて緩増加表現を与えるパラメタをすべて決定した。これにより我々の幾何学と通常のLusztig-Opdam-Solleveldによる一般Snringer対応を用いた緩増加表現の記述が本質的に異なる分類を与えていることが明確になった。(Utah大学のDan Ciubotaru氏との共同研究)
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