研究概要 |
昨年度に引き続きeDL対応の枠組みの中で(古典型)アフィンヘッケ環の緩増加表現についての研究を行った。アフィンヘッケ環の緩増加表現の指標はいわゆる一般Springer表現を用いて記述できる為、特にLusztig-庄司アルゴリズムと呼ばれるアルゴリズムによって記述できる事が知られている。ところが、一般Springer対応にはパラメタを入れる余地がないためアフィンヘッケ環側から見るとパラメタを動かすと指標がどのように変わるかが分からないという点において不満が残るものであった。 しかし、今年度の研究においてアフィンヘッケ環に"tempered delimits"と呼んでいる表現の族を導入し、緩増加表現の族やその重要な部分族である離散系列表現の族ではなくこの族の挙動を解析すると少なくとも離散系列表現の指標についてはパラメタが動いた時にどのように指標が変わってゆくのかが分かるようだという観察を得た。この観察をきちんとひとつの話として仕上げる事は次年度の課題である。 また、アフィンヘッケ環の幾何学的佐武対応における双対サイドの対象であるアフィングラスマン多様体におけるMVサイクルと呼ばれる特殊なサイクル(これ自体affine Hecke環の元の"精密化"と見る事ができる)が自然な融合積に対してどう振る舞うかについての評価式を得て、プレプリントの形にまとめた。(Kato-Naito-Sagaki, Polytopal estimate of Mirkovic-Vilonen polytopes lying in a Demazure crystals, arXiv : 0912. 0586)
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