今年度は、これまでに得られた一般化Whittaker模型に関する研究上の結果やその研究において現れた新しい徴候が、類似の状況下でどの程度普遍性を持つかどうかを、一般線型群における新谷模型を非アルキメデス素点とアルキメデス素点の両方で、大学院生の諸氏の協力を得て調べた。詳しくは以下の通りである。 非アルキメデス素点における不分岐新谷模型の公式は、すでに加藤-村瀬の結果が証明抜きでアナウンスされている。これに関して、前年度までのPrasad流の構成による研究に加え、Poisson変換による加藤らの手法と合わせてその再検討した。 また、実素点においても、これまで一般には成立しないとされていた2次の一般線型群における新谷模型の一意性が実は成立していることを明らかにした(なお、これと密接に関連するが少し異なる定式化における一般的な結果が、B.SunとC-B.Zhuによって、イスラエル学派の手法を用いて最近になって示されている)。 また、この過程でアクセサリパラメータを持つ大域解析可能なFuchs型方程式の興味深い例を見出した。このような微分方程式の存在は、表現論的な観点からも予見され、それ自身興味あるものだが、様々な模型の具体的な実現を明示的に書く問題に現れる組み合わせ論的な困難を解決する手がかりの存在を示唆しておりさらに追及の価値がある意義深い現象と思われる。 これらの成果について一部を内外の研究会での発表を行うなどして、今後の展開の方向性を探った。
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