研究概要 |
Y.G.OhはHermite対称空間内のLagrange部分多様体に対しタイト性の概念を導入し、複素射影空間内の大域的にタイトなLagrange部分多様体は全測地的に埋め込まれた実射影空間に限ることを示した。我々はLagrange部分多様体のタイト性の概念を等質Kahler多様体の場合に拡張し、実際に複素旗多様体の実形のいくつかが大域的にタイトになることを示した。これはHermite対称空間の実形以外では初めての例になる。この結果は入江博氏(東京電機大学)と田崎博之氏との共同研究によって得られた。 階数1のコンパクト対称空間の余接束にはStenzel計量と呼ばれる余等質性1の完備Ricci平坦計量が入る。このStenzel計量の対称性に着目して、IonelとMin-Ooによる運動量写像を用いた手法とAnciauxによるLagrangian anzatzの二つの手法を拡張し、n次元球面の余接束においてSO(p)×SO(q)(p+q=n+1)の作用で不変な余等質性1の特殊Lagrange部分多様体を構成した。さらにこれらの特殊Lagrange部分多様体の漸近挙動について調べた。 東京近郊のいつくかの大学と共同で秋葉原微分幾何セミナーを始めた。平成21年度は6月と11月に開催し、第1回はJosef Dorfmeister教授(ドイツ,ミュンヘン工科大学)に、第2回はCarlos Olmos教授(アルゼンチン,コルドバ大学)にそれぞれ講演していただいた。
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