研究概要 |
前年度までに,一変数マイクスナー系列(背後にはフラクショナルブラウン運動がある)より一般的なウィルソン系列の直交多項式と付随するC上の確率測度が本研究課題の範疇に入るとの感触を得ていた. よって,平成22年度は,ウィルソン系列でありマイクスナー系列より上位にある連続双対ハーン多項式に付随する課題に研究対象を特化した.その結果,連続双対ハーン多項式に付随するヤコビ・セゲーパラメータに対する「特殊な条件」のもとで,メリン変換と合成積定理を用いることで,新たな確率測度をC上に構成することが出来た.この結果は,2009年の論文で発表したものより広いクラスの確率測度を含むことが分かった.これらの結果は早急に論文としてまとめ上げ,平成22年12月に国際的数学専門雑誌に投稿した.なお,今回得られた確率測度と無限分解可能性等との関係は明らかにすることは出来なかった.また,本年度得られた成果は,特に,量子ホワイトノイズ,あるいはレヴィー・マイクスナーノイズの高次冪と関連すると予想しているが,その道筋を明らかにすることは出来なかった.これらの未解明点については今後の課題である. 今年度得られた成果は,MRCC(Bedlewo,ポーランド),NIMS(太田市,韓国)および東北大学で開催された国際研究集会等で講演発表する機会を得た. 長年共通の問題意識を共有している久保泉氏(広大)と郭輝雄氏(ルイジアナ州立大)とは乗法的繰り込み法によって,ブレンケ型母関数に付随する直交多項式やヤコビ・セゲーパラメータ,および確率測度の構成・分類についての課題に着手した.
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