研究概要 |
本研究課題は,組合せ最適化分野における多品種流に対する統一的理論の構築を目指すものである.本年度は,有向ネットワーク上の多品種流について,南山大学の小市俊吾氏との共同研究を遂行し,必ずしも対称とは限らない距離空間のtightな拡張に関する一般論を展開し,有向多品種流への応用を確立した.その一部をプレプリントH. Hirai and S. Koichi : On tight spans and tropical polytopes for directed distancesにまとめ投稿した.この成果によって,トロピカル多面体が多品種流理論に思いもよらない応用があることがわかり,新たな研究の方向性が示された.整数多品種流の研究をエトバス大学Gyula Pap氏と共同で開始した.それにより,A. Karzanovによって得られていた整数多品種流に関する重要な結果(未出版)を全く異なるアプローチで一般化して証明した.これをプレプリントH. Hirai and G. Pap : Tree metrics and edge-disjoint S-pathsにまとめ投稿した.投稿中であった論文Folder complexes and combinatorial dualitiesの改訂作業を行い,SIAM Journal on Discrete Mathematicsに採録予定となった.昨年度プレプリントにした論文The maximum multiflow problems with bounded fractionalityのextended abstractが国際学会ACM Symposium on Theory of Computingに採択されたので,発表を行った.そのときの旅費として本研究費が使用された.その他,国内の学会で成果の一部を発表し,関連研究者と有益な討論を行った.
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