研究概要 |
離散的対象のランダム生成アルゴリズムの設計について,特に理論的側面から,多項式時間アルゴリズムの存在性/不可能性の問題に取り組んだ.具体的には下記の対象を扱った. 1.コーダルグラフサンドイッチの特性について,階層半順序構造に着目し,ランダム生成・列挙・数え上げの計算量について議論した. 2.グラフ中の支配集合のランダム生成・数え上げの計算量の解明に取り組んだ.区間グラフ等のグラフクラスについて,多項式時間の数え上げアルゴリズム,ならびにそれを利用したランダム生成法を開発する一方で,コーダルグラフ等のクラスについては,数え上げの困難性を示した. 3.グラフ同型性を考慮したランダム生成,列挙,数え上げの計算量の解明に取り組んだ.その過程で,Catalan数と深い関係をもつ,真区間グラフのサンドイッチについて,部分グラフ同型性判定の困難性を明らかにした. 4.束上のHasse walkが単調な更新関数を持つための必要十分条件が,定常分布が対数優モジュラであることを示した.また,対数優/劣モジュラ分布を基軸に,様々な組合せ的対象のランダム生成の計算量の関係性を解明した.特にTutte多項式の一部の領域に対する,多項式時間乱択計算法を開発した. 5.3行以上の2元分割表について,自身が以前に開発した2行分割表の完壁サンプリング法をサブルーチンとして利用する棄却サンプリング法を設計し,棄却率を最小にする方法を考案した. 6.置換多面体上の学習問題について,乱択アルゴリズムの設計を行った.
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