研究概要 |
1次元安定レヴィ過程のエクスカーション(周遊)の構造とその処罰問題への応用を研究した. その結果, 次のことが明らかとなった. (1) 1次元安定レヴィ過程の周遊測度は, 最小過程の強マルコフ拡大のクラスの中で端点になっており, その性質は原点付近で激しく振動する性質と繋がっている. (学術雑誌に投稿中) (2) Roynette, Vallois, Yor, Najnudelらによるブラウン運動に対する処罰問題は, 重み過程が局所時間の関数またはFeynman-Kac killingの場合, 1次元安定レヴィ過程に対してもほぼ同様の形で拡張される.その際絶対値関数を死滅過程の調和関数に置き換える.(M.Yor氏及びY.Yano氏との共同研究.J.Math.Soc.Japan, to appear) ブラウン運動と安定レヴィ過程はいずれもマルコフ過程の典型的な例である.その周遊測度の構造は, ブラウン運動の場合は既に明らかにされているのに反し, 安定レヴィ過程の場合は, 一般論で言えること以上の性質は知られていなかった.(1)はブラウン運動の場合との決定的な相違を示す画期的な結果である. また, ブラウン運動に対する処罰問題の先行結果は, ブラウン運動の特殊な性質を随所に用いていた. (2)が明らかにしたことは, 周遊理論によって一般的に論じられる部分を除くと, 収束定理のための可積分性の評価においてのみ特殊性を要する, ということである.
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