平成20年度は次の(1)〜(3)に示す3種類の研究成果が得られた。 (1) 帯行列の固有値計算アルゴリズムの定式化 以前の研究では可積分な離散ロトカ・ボルテラ系から上2重対角行列の特異値計算アルゴリズムを定式化したが、本研究では離散ロトカ・ボルテラ系の拡張版である離散ハングリーロトカ・ボルテラ系に着目し、帯行列の固有値計算アルゴリズムを定式化した。一連の研究成果をまとめた論文は、日本応用数理学会誌に1編が、lnverse Problems誌に1編が掲載され、JSIAM Letters誌に1編が投稿中である。学会・研究会における口頭発表は5件行った。 (2)ニュートン法に基づく密行列の対角化アルゴリズムの定式化 演算量が多くなっても高精度に特異値分解を求めようという設計思想のもと、ニュートン法を利用した新しい特異値分解アルゴリズムを定式化した。この研究成果をまとめた論文は、日本応用数理学会誌に1編が掲載された。同じ設計思想で新しい固有値分解アルゴリズムも定式化した。学会における口頭発表は1件、研究集会「非線形波動の数理と物理」におけるポスター発表は1件行い、後者の発表についてはベストポスター賞を受賞している。論文にまとめたものは、JSIAM Letters誌に1編が投稿中である。 (3) 固有値・特異値計算アルゴリズムの局所解析 中心多様体理論によって特異値計算アルゴリズムmdLVsの局所解析を行い、アルゴリズムの指数安定性を明らかにした。この研究成果は学会にて発表した。同じく (1) で定式化したアルゴリズムについても指数安定性が確認でき、この研究成果は研究会にて発表した。論文にまとめたものはRIMS Kokyuroku Bessatsu誌に掲載が決定している。
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