研究概要 |
本年度は研究実施計画の通り, 非加法系(Tsallis統計)の下で, Fisher情報量を定義しクラメール・ラオの不等式を証明した. その結果が, 下記のジャーナルに掲載された. On the maximum entropy principle and the minimization of the Fisher information in Tsallis statistics, Journal of Mathematical Physics, Vol.50(2009),013303-1-013303-12. この論文の中では一般化期待値の取り方として2通りの場合について考察している. この結果により確率論における基本定理である中心極限定理の一般化の証明がFisher情報量を用いてできる可能性が出てきた. これについては今後の課題となっている. 同時にTsallisエントロピー最大化原理についてもラグランジェ未定係数法を用いずに, Tsallis相対エントロピーを用いて証明することに成功した. 上記の成果は古典系におけるものであるが, 現在は, 量子系のFisher情報量やSkew informationに関する研究を行っているところであり, 来年度中にはこれらの結果が実を結ぶ予定である. 特に不確定性関係に関するトレース不等式に関心を持って研究を続けているところである.
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