研究概要 |
連結な有限無向単純グラフにおいて, どのk-1頂点を取り除いても連結性を保つようなグラフをk連結グラフと呼ぶ. 本研究の主要目的は, 1981年にデンマーク工科大学のC. Thomassenによって提起された高連結グラフの分割問題に関する次の予想解決に向けた研究に大幅な進展を与えることである. Thomassen予想. 「a, bをa≧b≧1なる整数とする. 任意の(a+b+1)連結グラフは, その頂点集合Vについて互いに素な二つの部分集合A, Bで, V=AUB, かつ, Aはa連結グラフを, Bはb連結グラフをそれぞれ全域部分グラフとして誘導するように分割出来る. 」 この予想の解決は非常に難しく, Thomassen自身がb≦2の場合について部分的に解決して以降進展がなく, 20数年以上経過した現在でもb=3の場合すら未解決のままという状況である, 研究代表者は, 当面b=3の場合の予想解決をめざすことにし, そのアプローチとして, あるグラフを誘導部分グラフとして含むことを禁止したグラフの族に関する構造定理の開発・利用を試みる. それに伴い, 当該年度では禁止部分グラフに関する研究も連結度の研究と並行して進め, 禁止部分グラフ・連結度相互に有用な応用性の高い新しい定理を得ることも視野に入れて研究を進めてきた. その結果, 今年度では, 「k連結グラフには, あるサイクルCとして, Cの頂点を全て取り除いても連結度は高々3しか下がらず, また, Cの辺を全て取り除いた場合は連結度が高々2しか下がらないものが存在する」という定理を証明することが出来た. この研究成果に関する論文が最近Discrete Apphed Mathematicsに出版された.
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