研究概要 |
連結グラフにおいて、どのk-1点を取り除いても連結性が保たれるグラフをk連結グラフと呼ぶ。高連結グラフの分割問題に関するThomassen予想の解決を目指して、これまで様々な角度から高連結グラフの構造を調べる研究を進めてきた。その結果、予想の解決には至らなかったが、この年度では高連結グラフの分野において重要な研究成果を多数得ることが出来た。そのうち主なものを下記に2つ挙げる。 i)「任意の高連結グラフは取り除いても連結度が高々4しか下がらない偶数点サイクルを含む」という定理を証明した。 ii)nをグラフの位数とするとき、グラフがn/2連結グラフであるための非自明な必要十分条件をグラフの頂点彩色の観点から与えた。 かつてThomassenは「任意の高連結グラフは取り除いても連結度が高々3しか下がらないサイクルを含む」という定理を証明した。(i)の結果は非分離偶数点サイクルに関するThomassenの定理の拡張となっている。また、グラフ連結度の研究に関して、これまで2連結グラフ、3連結グラフの特徴付けは古くから知られていたが、4以上のk連結グラフに関してそうした特徴付けはほとんど知られていなかった。本研究で得た(ii)の結果は、グラフの頂点を赤青2色用いて同数個の赤点青点を含むように頂点彩色した際の頂点分割の観点によるn/2連結グラフの特徴付けを与えており、高連結グラフの構造について新しい知見を与えている。上記(i),(ii)の結果を示した論文はそれぞれCombinatorica, SIAM Journal on Discrete Mathematicsに掲載された。
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