主に、抽象Wiener空間上のヘルマンダー型作用素が生成する拡散半群のエルゴード性を確率解析を用いて研究した。Ornstein-Uhlenbeck作用素が生成する半群がエルゴード性を持つことはGrossにより古くから知られており、この研究はこの結果の退化した場合への一般化および精密化につながるものである。今来度はこの研究において重要な役割を果たすであろうある評価式を得ることができ、来年度以降の研究につながるものと思われる。またこれに関連するが、以前の研究の続きとしてバナッハ空間値の伊藤汎関数に関する振動積分型汎関数積分の研究も続けており、昨年度得た知見によりrough path版マリアヴァン解析に関するFrizの最近の研究の検討を行った。 またRiesz変換における以前の研究成果を国内外の様々な研究集会・セミナーで報告を行い、様々な意見、アドバイスを頂いた。これを元にさらなる結果の表現の簡潔化および場の量子論において重要な対象である(有限体積)P(\phi)_{2}-モデルを例にとりこむことを目標としていきたい。
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