研究課題
本研究では、流領域が帯状で、初期値の一部が大きな場合の水の波の問題に対する、時間局所解の存在について考察している。特に、水面が覆い被さっている(グラフで記述できない)場合である。前年度の水面上の問題に対する線形問題の解析に続く研究を行った。まず、線形問題の結果と反復法により、水面上の非線形問題が時間局所解をもつことを示した。領域に水底がある場合は、水面上の方程式が非対称なものになる。この方程式を形式的に準線形化すれば、デリバティブ・ロスが起きてしまう。このことは、非線形問題を解くのに不都合である。そこで、前年度に考察した対称的な部分を主要部とみなし、非対称の部分は低階項であることを示した。このとき、表面張力は水底の効果より高階の微分で表されるということと、初期速度と渦度が小さいという仮定をうまく活用し、解決した。次に、流体領域内部の問題を解いた。この問題は、楕円型境界値問題に帰着できるので、水面がグラフで記述できない場合でも、従来どおりの方法で解決した。以上の結果により、水の波の問題の時間局所解を構成した。ここで、初期速度と渦度が小さいととと不動点定理を用いた。
すべて 2009
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Nonlinear Analysis Series A : Theory, Methods and Applications 71巻
ページ: e2969-e2975