研究概要 |
双曲的閉曲面に対して、種数によってのみ定まる最大半径の円板を極値的円板と呼ぶ。本研究課題では極値的円板を含むリーマン面及びクライン面を求めることを中心の課題としている。また極値的円板の埋め込める個数や埋め込み位置を与えることも主要な問題である。 本年度は特に次の結果を得ることができた。 1。種数6の極値的クライン面を、同型を除いて149,288種類得ることができた。これは極値的クライン面を与えるNEC群の基本領域である双曲正30角形に対して、その辺の貼り合わせパターンをコンピュータによって解析することで求めた。 2.種数6の極値的クライン面には、極値的円板を高々2個まで埋め込めることができ、ちょうど2個埋め込めるものは116種類存在することが判明した。また、埋め込み位置もすべて得られ、図で表示を行った。 3.種数3の極値的リーマン面に対しては、新たに3種類存在することが判明した。これらはすべて超楕円的であることが証明できた。また、自己同型群及びワイエルシュトラス点の位置もすべて求めることができた。 4.(g,m)型の標識付きリーマン面から成るタイヒミュラー空間に対して、トレース関数を用いることによりパラメータ付けを行うことができた。特に、(g,0)型に対しては6g-5個の変数が満たす方程式を与えることができた。 これらの結果は極値的円板を2個以上含むことのできるクライン面を求める問題の解を与えており、とても意義のあるものと言える。また、リーマン面の自己同型群、ワイエルシュトラス点を求める問題にも貢献できたと言える。
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