平成21年度は、劣線形と呼ばれる場合について、以前に2階非線形常微分方程式の2点境界値問題で得た符号変化する解の一意性についての結果を球状領域における楕円型偏微分方程式の球対称解の問題について一般化することに成功した。具体的には、単位球の内部において劣線形の楕円型微分方程式を満たし、境界での値が0で、かつ内部でk回符号変化する解がただ1つであるための十分条件を得た。また、そのような解が3個以上存在するような例も構成することができた。その問題の符号変化する球対称解の一意性については自励系の場合は解決済みであったが、今回、非自励系の場合の結果をを得ることができた。また、非一意性の例は過去にはないもので、今回、始めて得ることに成功した。この非一意性の結果により、非自励系の場合は無条件では一意性が成り立つ訳ではないことがはっきりし、一意性の結果が重要であることが再認識された。また、Emden-Fowler 型と言われる微分方程式の2点境界値問題の正値解の一意性について、新たな解析方法を見つけることができた。Emden-Fowler型微分方程式はさまざまな微分方程式の原点でもある方程式であり、また、楕円型の偏微分方程式の球対称解の解析においても非常に重要な方程式である。今回得た方法は符号変化する解への利用が期待できる。また、原点であるEmden-Fowler型方程式で新たな結果を得ることにより、様々な応用も期待できる
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