研究課題
現在、不動点問題に対する実用的な近似法に関する研究は、理論、応用の両面から発展が強く望まれている。しかしながら、従来の研究では近似法によって構成された点列と解が一致する条件については明らかにされていないのが現状であった。近似法によって得られた点列が有限回のステップ数で解と一致することが保証できれば、計算機を援用したシミュレーションなどによって効率的な解法の開発が期待できる。このような状況を鑑み、平成21年度においては次のことを行った。(1)アルゴリズムの有限回での収束性について、関連する研究が行われている線形計画問題および変分不等式問における条件について調査を行った。これらの条件を基にして、射影と非線形写像を組み合わせた不動点問題のモデルについて、解に収束する近似列が有限回で解と一致するための条件を考察した。(2)凸解析学における諸問題を解析するのに有効な接錘と法線錘の概念を用いることで、これまでの線形計画問題および変分不等式問題に対して得られていた条件を含む条件を導入した。新しく導入した条件を用いることで、不動点問題の解に収束する近似列が有限回のステップ数で解と一致する結果を導いた。(3)応用について考察した。結果はヒルベルト空間における不動点問題のモデルに対して得られたものであり、これまで扱うことのできなかった無限次元空間における問題に対して適用することが可能である。有限次元空間における問題に対して得られていた近接点法に関する有限収束の結果をヒルベルト空間の場合でも成り立つことを示した。関連する分野の文献収集および国際会議、研究集会に参加することで、多くの研究者から広く意見を聞くことにより研究を発展させることができた。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Proceedings of the Asian Conference on Nonlinear Analysis and Optimization
ページ: 223-226
Fifth International Workshop on Computational Intelligence & Applications IEEE SMC Hiroshima Chapter, Hiroshima University, Japan, November10, 11 & 12
ページ: 270-273