研究概要 |
余零問題は複素多様体の解析的集合に対する正則関数の存在問題であり, 領域およびその解析的集合の解析性および幾何学性の両方に関係する問題である. 申請者は2007年(Kyushu Journal of Math)に, C^2の直積領域における任意の相対コンパクトでは余零問題が肯定的に解けることを明らかにしたが, C^2の領域全体で肯定的に解けるかどうかについては未解決であった. (一方, C^n(n≧3)については上記の論文において反例を構成した.)そこで, その問にと対して肯定的解答を与えると共に, さらに拡張された2次元スタイン空間でさえも余零問題は肯定的にとけることに成功した : Xを被約スタイン空間, cをH^2(|c|, Z)=0であるX上のCartier因子とする. このとき, cについての余零問題はX上で解をもつ. すなわち, X上の正Cartier因子dが存在し, |c|〓|d|=φかつline bundle[c+d]はholomorphically trivialである. この結果から次の系を得る : Xを2次元被約スタイン空間とする. このとき, X上の任意のCartier因子についての余零問題は, X上で解をもつ. 証明にはH. A. HammおよびN. Mihalache等による, スタイン空間の解析的集合はあるスタイン近傍が存在するという結果を用いた. この成果は現在"Extra zero problem of Oka on a Stein space"(Makoto Abe and Sachiko Hamano)として投稿中である.
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