研究概要 |
古典的なWeierstrassの定理の高次元化可能性を問うクザン第2問題は,多変数関数論における複素領域の大域的な性質に関して重要で基本的な問題の一つであり,岡,Cartan,Serreらによって,その位相的障碍の非存在という形での必要十分条件が与えられるに至り,一応の解決を見た,また,クザン第2問題の条件を弱め,与えられた集合を零集合の一部分としてもつ正則関数を求める問題は,スタイン多様体において任意のクザン第2分布に対して解けることが示されている(岡,Stein).一方で幾何学的には,この問題の解が定める零集合は与えられた集合に干渉する可能性がある.そこで,それらが交わらないような正則関数を求める問題(余零問題)について考察した.この問題は複素多様体の解析的集合に対する正則関数の存在問題であり,領域およびその解析的集合の解析性および幾何学1生の両方に関係する問題である. 本年度は領域の変分問題に関して以下の研究結果を得た.複素パラメータと共に滑らかに動くリーマン面上のL_1主関数の2階変分公式を得た.そして,その領域の変動が擬凸状領域ならば,等角写像で重要な働きをするL_1-主関数から誘導されるL_1-定数は劣調和関数であることを示した.この応用として,各ファイバーが種数2以上のコンパクトリーマン面であるような特異点のない正則族ならば,各コンパクトリーマン面のショットキー被覆面からなる変動はB×P^1の単葉領域に一意化可能である.
|