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2010 年度 実績報告書

有質量な可積分場の理論の表現論的構造

研究課題

研究課題/領域番号 20740088
研究機関筑波大学

研究代表者

竹山 美宏  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (60375392)

キーワード可積分系 / qKZ方程式 / 多重ゼータ値
研究概要

今年度の研究では、多重ゼータ値のq類似が満たす2次関係式を構成した。Knizhnik-Zamolodchikov方程式(KZ方程式)は、可積分な場の理論である共形場理論において重要な微分方程式である。KZ方程式の係数には、理論の対称性を記述するリー代数のCasimir元が現れるが、これを非可換な形式元に置き換えたものを形式的KZ方程式と呼ぶ。形式的KZ方程式について、確定特異点のまわりにおける解の接続問題を考えると、多重ゼータ値が現れる。このように、多重ゼータ値は可積分系に関連する興味深い数学的対象であると考えられる。量子可積分系との関連においても次の結果が得られている。Boos-Korepin-Nishiyamaa-Shiroishiは、XXX模型のemptiness formation probabilityと呼ばれる相関関数に対して、多重ゼータ値を使った明示的な公式を与えた。
有質量な可積分模型との関係においては、Zhaoによって定義された多重ゼータ関数のq類似が考察すべき対象であると期待できる(この関数はKaneko-Kurokawa-Wakayamaが定義したリーマン・ゼータ関数のq類似を多重化したものである)。今年度の研究では、川島関係式と呼ばれる多重ゼータ値の2次関係式の族を、q類似の場合に拡張することに成功した。川島関係式は、特別な場合として線形の関係式を与える。この線形部分は、巡回和公式・大野関係式・一般導分関係式と呼ばれる関係式を真に含む。したがって、川島関係式はかなり広いクラスのものであると言える。今回の研究で得られた川島関係式のq類似も線形部分を含むが、この部分は多重ゼータ値に対するものとまったく同じである。よって、巡回和公式などの関係式はq類似の場合にもそのまま成り立つことが分かる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Differential equations compatible with boundary rational qKZ equation2010

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Takeyama
    • 雑誌名

      Proceedings of the Infinite Analysis 09--New Trends in Quantum Integrable Systems

      ページ: 421-450

    • 査読あり
  • [学会発表] 多重ゼータ値のq類似が満たす2次関係式2011

    • 著者名/発表者名
      竹山美宏
    • 学会等名
      日本数学会年会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-03-22

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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