相空間が4次元の場合のパンルヴェ型方程式について(通常のパンルヴェ方程式は相空間が2次元の場合)、フック型方程式に対応したモノドロミー保存変形から得られる系が、よく知られたガルニエ系のほかに、3種類あることが分かった。そのうちの一つについて詳しい計算ができ、いくつかの研究集会で成果を発表した。この方程式に関しては、パンルヴェの6型方程式の解で記述できる特殊解が存在することなどの基本的な性質についての結果を得ることができた。残りの2つについて同様の理論を構築してから論文の形で発表したいと考えている。 この結果は、パンルヴェ型の非線型方程式の拡張についての新しい枠組みを与えていて、フックス型線型方程式の特異点の合流に対応したすべてのリストを構成できれば、モノドロミー保存変形の意味での4次元可積分系のすべての分類を与えるはずで、散発的に現れているいくつかの高次元パンルヴェ型方程式を位置づけるための重要な理論になると考えている。 ミドル・コンヴォリューション、アディションといったカッツのオペレイションを慣用したカッツの理論を核とした線型方程式の分類理論やクイヴァーの理論、ドリーニュ・シンプソン問題との関係も知られているので、大きな広がりをもった数学的世界観を構築できると考えている。
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