研究概要 |
空間非一様なある双安定型反応拡散方程式の遷移層をもつ定常解について以下の研究をすすめた.空間1次元の場合この問題は中島(2003),中島-田中(2003), Ai-Chen-Hastings(2005),浦野-中島-山田(2005)により扱われ,一箇所に折り重なった遷移層を持つ解の存在が示された.またこれらの解のモース指数は,遷移層やスパイクの数と位置により完全に決定されることが示されている.空間2次元以上の場合には,遷移層の形状が多様で複雑になるため遷移層の様子を解析することは難しい.領域を球対称に限ル場合にはDancer-Yan(2004), Du-Nakashima(2007)などの結果がある.Du-Nakashimaでは,場所によりポテンシャルの位置関係が異なる双安定系については,折り重なった遷移層をもつ球対称定常解のモース指数は拡散係数を無限小とするとともに限りなく大きくなるという事実,equal well depth条件が成立する双安定系においては,折り重なった遷移層のモース指数は拡散係数を無限小としても有限にとどまるなどを証明した.本年度は球対称に限られない一般の領域に対し遷移層をもつ解を構成した.また解の遷移層の現れうる位置を完全に決定することができた。この研究はLi-Nakashima(投稿中)に発表されている.
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