本研究では、中質量星における惑星系の特徴を明らかにし、統一的な惑星形成理論の構築に寄与することを目的として、中質量G型巨星の視線速度精密観測による系外惑星探索を行う。また、巨星段階では中心星に飲み込まれてしまって検出できない短周期惑星を検出するため、進化前の中質量A型矮星におけるトランジット(惑星による掩蔽)現象の検出可能性を小口径望遠鏡による測光観測によって調査する。平成21年度は、前者の目的のために中国興隆観測所の研究者に協力を依頼して年間約40晩程度の観測を行い、後者の目的のために東京工業大学に平成20年度に設置した望遠鏡及びCCDカメラを用いて試験観測をおこなった。 中国興隆観測所におけるG型巨星の惑星探索観測では、新たな系外惑星をもつ可能性のある天体を複数同定し、国立天文台岡山観測所やハワイ観測所の望遠鏡なども駆使しながら現在精力的に追観測を続けている。A型矮星の測光観測については、試験観測の結果、東工大付近の明るい空の下でも相対測光精度約0.3%を達成できることが判明した。これはA型矮星を周回する惑星によるトランジット現象をとらえるのに十分な精度である。これを受けて、平成22年度には本観測を開始する。
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