本研究では、中質量星の周りに存在する惑星系の特徴を明らかにし、惑星形成及び進化過程の統一的な理解に寄与することを目的として、中質量G型巨星の視線速度精密観測による系外惑星探索を行う。また、巨星段階では進化によって膨張した中心星に飲み込まれてしまい検出が不可能な短周期惑星を検出するため、進化前の中質量A型主系列星におけるトランジット(惑星による掩蔽)現象の検出可能性を小口径望遠鏡による測光観測によって調査する。平成22年度は、前者の目的のために中国興隆観測所の研究者に協力を依頼して昨年度同様年間約40晩程度の観測を行った。また、後者の目的のためには東京工業大学に平成20年度に設置した望遠鏡及びCCDカメラを用いてA型主系列星の観測を行った。 中国興隆観測所における惑星探索観測では、昨年度同定した新たな系外惑星をもつ可能性のある天体を引き続きモニター観測した結果、この天体は2つの惑星をもつ多重惑星系であることが分かった。このような天体はG型巨星の周りでは発見例が少なく、惑星系の軌道進化を考える上で貴重なサンプルとなった。A型主系列星の測光観測については、観測手法と解析手法に改良を加えた結果測光精度が約30%向上し、相対測光精度約0.2%以下を達成した。これは、A型主系列星を周回する土星サイズの惑星の検出が可能な精度である。また、観測システムの自動化も進んでおり、今後も観測を継続していく。
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