研究概要 |
星間分子として既に観測されているギ酸メチルおよびエチルメチルエーテルのマイクロ波分光を行った。ギ酸メチルのノーマル種については振動励起状態の帰属の拡張をスペインの研究者による量子化学計算の結果を提供してもらい引き続き行った。同位体種(DCOOCH_3, H^<13>COOCH_3, HCOO^<13>CH_3)については、過去の34GHz以下の研究のデータ精度が現在の水準から考えると不十分であるため、ノーマル種も含めて、金沢大学のフーリエ変換型マイクロ波分光計を用いて再測定および新しい遷移の観測を行い、7KHzという高い精度のデータを得ることができた。200GHzまでの既存のデータとのグローバル解析を行う予定である。エチルメチルエーテルについてはねじれ振動励起状態の帰属と解析を進め、骨格ねじれ振動第2励起状態およびメチル基の内部回転の励起状態について明らかにすることが出来た。(報文 : 1報、学会発表 : 5件)200GHz以上の周波数領域で源振が50-75GHzの領域について新しい逓倍器(科研費による購入品)を導入し測定が容易なシンセサイザーを用いることが出来るように分光計を改良した。これらの新しく測定し、解析を修了したデータは、これまでに開設したホームページであるhttp://www.sci.u-toyama.ac.jp/phys/4ken/atlas/に順次追加している。このホームページは電波天文学者と分光学者の利用を期待し、周波数検索機能も備えている。平成20年度は既に載せていたデータの形式を、より利用しやすいように変更を行い、併せてデータ内容の改良および増強をはかった。
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