研究概要 |
星間分子として既に観測されているギ酸メチル,エタノールおよびエチルメチルエーテルのマイクロ波分光を行った。ギ酸メチルのノーマル種については昨年度の改良によりシンセサイザーを用いた観測が可能となった215-225GHzの周波数領域の測定を行い、約5600本の吸収線を得た。このデータを用いて基底状態と第1励起状態のスペクトルを確認し、第2振動励起状態のA対称種の帰属の拡張を行った。同位体種(DCOOCH_3, HCOO^<13>CH_3)については、50-75GHz帯での測定を継続し、データ読み取りを行っている。エタノールはジェット推進研究所との共同研究として、50-63GHz帯の測定を行い、約2300本の吸収線を観測した。今後、未帰属の遷移について解析を進める予定である。エチルメチルエーテルについてはふたつのメチル基の内部回転の励起状態と骨格ねじれ振動励起状態はエネルギー的に近いため、相互作用が見られることによる影響を検討した。分光計は昨年度、導入した逓倍器にアイソレーターを加え改良した。 これらの新しく測定し、解析を終了したデータは、既に開設した主として分光学者と電波天文学者のためのホームページであるhttp://www.sci.u-toyama.ac.jp/phys/4ken/atlas/に順次追加している。このホームページには国内外からのアクセスが確認されている。今年度は6分子のデータを追加し、現在のところ15分子の約12800本の吸収線が検索可能である。
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