研究概要 |
宇宙の星形成史および重元素合成史を明らかにするため,銀河の重元素量の進化,いわゆる銀河の化学進化を整合的に取り入れ,ダスト(星間塵)の質量及び組成の進化,および空間的非一様性まで含めた輻射モデルを構築する.計算結果を紫外線から赤外線にわたる多波長観測データと比較することでモデルを検証し,理論として完成させる.具体的には,銀河の輻射過程を正しく扱うため,ダストによる散乱を取り入れる.ダスト分布の空間的非一様性はメガグレイン近似を拡張し,モデルに実装する.また,化学進化を解いて重元素量の進化を追うとともに,ダスト粒子の破壊過程を正しく考慮し,粒子の構成とサイズ分布進化まで含めたダストの進化を整合的に扱う.計算結果はGALEXやSpitzer,AKARIなど最新の観測装置によるデータと比較して検証する.個別の銀河の進化の枠組みを完成した暁には,宇宙論的シミュレーションに組み込んで統計的な議論が可能な形にする.
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