本年度は口径1.5mかなた望遠鏡と1露出型偏光器HOWPolを用いたガンマ線バースト残光の観側体制を整備し、より効率の高い観測体制整えるとともに、観測を継続することが目標であった。1露出型観測の機能を活かすためには、ガンマ線バーストのアラートに自動で反応してなるべく早く観測を開始するための制御系の整備が欠かせない。 我々は、HOWPolの光学系を制御するプログラムを、人が画面に向かってインタラクティブに制御するタイプのものに加えて、他のPCからの命令をソケット通信で受け付けるサーバータイプのものを開発して、検出器制御用のlinux PCから光学系を制御できるように整備した。これによって、観測モードのセットアップからデータアクイジッションまでを一つのlinux PC上で自在に行えるよになった。 そこで、既にかなた望遠鏡用に整備してあったガンマ線バースト・アラート受信プロセスとの連携プロセスを改良して、ガンマ線バースト出現時に望遠鏡の駆動と共にHOWPolをガンマ線バースト向けの1露出型偏光観測モードに自動的に切り換えて、露出を開始するように整備した。この自動観測モードは2009年5月より試験的に運用を開始し、9月以降は安定して稼働している。 その結果、12月8日には、本システムでの初めてのガンマ線バーストの偏光観測に成功した。バーストのトリガーから149秒後の観測開始はこれまでで最も早いものである。残念ながらRバンド等級で17等程度と暗く、目標の精度(偏光度で0.5%以内)での偏光測定は出来なかったが、偏光度アッパーリミット15%を決めることができた(学会発表)。現在その投稿論文化を進めている。ガンマ線バーストが現れない晩には、超新星などのモニター観測を行った(査読論文公表済)。
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