研究課題
本研究課題は、系外銀河の半径1kpcスケールの銀河回転系と活動銀河核(AGN)領域1pcスケールでの回転系とで回転軸や角運動量がしばしば異なることに着目し、銀河の星間ガスが中心のAGNトーラスへどのように質量降着していくのかその過程を明らかにすることを目指している。本年度実行したことは、(1)国立天文台のVLBI観測網VERAの共同利用観測による近傍銀河Arp220の位相補償VLBI観測、(2)韓国VLBI観測網の単一鏡共同利用への近傍銀河アンモニア吸収線探査の観測提案、(3)山口大学32m望遠鏡による局部銀河M33のUltra Dense HII領域のメタノールメーザー源探査のデータ解析である。その結果は以下の通りである。(1)Arp220の中心にlpcスケールの連続波成分の初検出に成功した。この成分の輝度温度からArp220のAGN活動性が示唆され、更にArp220の広い速度幅(>1000km/s)のアンモニア吸収線が1pcスケールのAGN領域で発生している可能性が認められた。現在この観測データを詳細に解析中であり、さらにアンモニア吸収線を用いたガスの降着過程を調べて行く予定である。(2)観測提案は受理され、平成23年度に観測が実行される予定である。(3)天の川銀河ではメタノールメーザーと相関が高いとされるUltra Dense HII領域だが、M33では有意な検出は見られなかった。(1)と(3)については成果をまとめ、一部は学会や研究集会で発表され、現在論文を執筆中である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)
Publ.Astron.Soc.Japan
巻: 63 ページ: 53-61
巻: 63(In press)