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2008 年度 実績報告書

宇宙階層構造の進化史における暗黒エネルギーと有限質量ニュートリノの効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20740119
研究機関東京大学

研究代表者

高田 昌広  東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (40374889)

キーワード暗黒エネルギー / ニュートリノ質量 / 暗黒物質 / 重カレンズ / 構造形成
研究概要

平成20年度の主な研究成果は以下の通りである。
(1)ビックバン熱史の名残である熱的ニュートリノは有限質量を持つために、宇宙の階層構造の形成過程に無視できない効果を及ぼす。つまり、現実的な構造形成では、速度分散が小さい冷たい暗黒物質と有限質量ニュートリノの混合したモデルにおける重力不安定性が構造形成を引き起こすと考えられる。我々は、この混合暗黒物質モデルにおける構造形成を記述するための解析的理論モデルを構築した。これは、宇宙論における摂動理論を適用したものである。この新モデルにより、ニュートリノの構造形成への影響は、弱非線形段階では増幅されること、またそれにより銀河サーベイからニュートリノ質量を制限する可能性が改善することを示した。
(2)重力レンズ効果は、宇宙構造の全質量分布に敏感なために、銀河と暗黒物質分布間の不定性(バイアス不定性)に影響されない。ここでは、上記の研究で開発した理論モデルをカナダーフランスーハワイ銀河サーベイでなされた現時点で最高精度の宇宙論弱レンズサーベイデータの測定結果に適用した。弱レンズ効果だけのデータではニュートリノの質量を精密に測定することは不可能であるが、宇宙背景放射、超新星探査、銀河サーベイの結果と組み合わせることにより、3世代ニュートリノの質量和について、95%の信頼精度で0.55eVの上限値を導出することに成功した。我々のニュートリノ質量の制限結果は、重力レンズ効果のデータを用いた初めての結果である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Constraints on Neutrino Masses from Weak Lensing2009

    • 著者名/発表者名
      K. Ichiki, M. Takada, T. Takahashi
    • 雑誌名

      Phys. Rev. D 79

      ページ: 023520-1-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of massive neutrinos on nonlinear matter power spectrum2008

    • 著者名/発表者名
      S. Saito, M. Takada, A. Taruya
    • 雑誌名

      Phys. Rev. Lett. 100

      ページ: 19103-1-4

    • 査読あり

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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