モンテカルロ殻模型法にエネルギー分散外挿法を組み合わせた新しい原子核殻模型計算の計算手法について、中重核領域での有効性を検証した。 モンテカルロ殻模型法の基底波動関数は射影スレータ行列式で表現しており、各スレータ行列式の係数を、変分原理に基づいて、モンテカルロ的手法と共役勾配法によるエネルギー最小化により決定する。各基底は、従来のように順序づけされて一回だけ最適化されるのではなく、各規定の線形結合によって表された波動関数のエネルギーを最小化されるように繰り返し最適化する。この改良と外挿法の組み合わせにより、中重核のような対相関が強い系においても精密なハミルトニアン固有値の計算が可能であることをしめした。 中重核領域のキセノン、バリウムの同位体について、非イラスト状態も含む低励起状態のエネルギースペクトルを殻模型の観点から微視的に研究した。 これまで殻模型計算の対相互作用に四重極-四重極相互作用をもちいており、バリウム132から138まで、キセノン130から136までの偶々核の統一的記述に成功した。しかしながら、バリウム130では励起エネルギーが実験値より過小評価する傾向にある。これは相互作用のモノポール成分が正しく記述できていないことによると考えられる。VMU(モノポールにもとづいたユニバーサル)相互作用を用いてモノポール成分を評価し、これを陽にとりあつかうことにより、130Baのより適切な記述が可能になる可能性を検証した。 また、変分モンテカルロ法とエネルギー分散外挿法を組み合わせた新しい殻模型計算の方法論の応用可能性を検証し、ニッケル56のような中重核の殻模型計算に有効であることを示した。
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