本研究は、太陽面爆発によって放出される高エネルギー中性子と加速された粒子と太陽大気が衝突することで放出される核ガンマ線を観測し、太陽面爆発による粒子加速機構を解明することを目的としている。太陽での粒子加速機構の解明は、銀河宇宙線加速に密接に関係し、宇宙線の初期加速から超新星爆発での加速限界までの統一描像の解明につながる。検出器は、ロシアで計画されている太陽探査衛星lnterHeliosに搭載する予定である。 今年度は、主に、検出器開発としてプラスチックシンチレータとLilシンチレータの一体型検出器のプロトタイプを制作し、中性子とガンマ線を1本の光電子増倍管で波形弁別により粒子弁別可能性とその性能評価を行った。中性子とガンマ線の弁別については、いくつかの線源を同時に照射することで実際に弁別が可能であり、ガンマ線のエネルギー分解能は11%@661keVであること、また中性子については1〜6MeVのエネルギー領域での計測を実証した。これにより、軽量かつコンパクトな検出器の開発が可能であることがわかった。 また、これら実験結果とシミュレーションの比較によるシミュレーションコードの評価を行った。中姓子およびガンマ線の検出効率を計算し、期待されるスペクトルとの比較を行いよく一致することが明らかにされた。また、検出器内での中性子の熱化シミュレーションの計算結果と実験結果もよく一致していた。これらのことから本研究での使用におけるシミュレーションコードの信頼性を実証した。 以上により、今後のフライトモデルの開発に向けたプロトタイプ検出器の基礎性能の実証を完了した。
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