太陽表面の爆発現象によって放出される中性子およびガンマ線の観測は、太陽での荷電粒子加速だけでなく、銀河宇宙線の加速機構を解明する上でも重要な意味を持つ。本研究は、粒子加速の統一描像の解明を目指し、太陽近傍での太陽中性子・ガンマ線観測を目的とした太陽中性子・ガンマ線検出器の基礎開発研究を行う。 今年度はLiIシンチレータをLaBr_3シンチレータに置き換え、中性子の検出効率を低下させることなく、ガンマ線のエネルギー分解能を向上させることを目指した。とくに、LaBr_3シンチレータの発光信号の読み出しにピンフォトダイオード(PPD)を用いることで、重量および消費電力の大幅な増加なしに実現可能かを検証するため、エネルギー分解能を光電子増倍管(PMT)との実験結果と比較することで評価した。 PPDのカタログ値からの試算では分解能の向上が期待されたが、線源を使用した実験で、PPDとPMTを用いた場合で大幅な分解能の改善は得られなかった。この結果は低エネルギー領域ほど顕著に表れた。主な要因として、読み出し回路系ノイズであることが明らかにされ、回路計の改良により分解能の向上が期待されることが明らかになった。
|