本年度は、非対称超新星爆発の研究を更に発展させ、γ線バーストの中心駆動源の解明、中性子星の磁場進化の研究、にまで発展させることができた。以下、具体的な成果をまとめる。 (1)ニュートリノ輻射輸送計算による非対称超新星爆発のメカニズムの研究 ニュートリノの位相空間の自由度まで含めた輻射輸送計算を行い、従来指摘されていた流体不安定性に加え、星の自転が爆発を助けることを示すことができた。ただ依然、爆発エネルギーに関しては観測値よりも一桁ほど低いものとなっている。ニュートリノ集団振動の効果、MRIの可能性などの効果を取り入れるべくコードの修正を行った。 (2)一般相対論的時空におけるニュートリノ輻射輸送コードの開発 γ線バーストの中心天体のエネルギー源として、ブラックホール降着円盤からのニュートリノ対生成が注目されている。昨年度に開発を済ませた超新星用の輻射コードを一般相対論的に拡張してγ線バースト源へ適応し、ニュートリノ対生成がアウトフローを形成する条件を求めることに成功した。今後は流体コードも一般相対論的に拡張し、ニュートリノ加熱によって加速されるアウトフローのダイナミクスを明らかにしていくことを計画している。 (3)中性子星磁場の崩壊過程の理論的解明 従来、中性子星はその進化に伴い、自身が有する磁場をジュール散逸によって散逸すると考えられてきた。この正当性を検討する為、粒子(PIC)シミュレーションを行った結果、電子の慣性長以下のスケールではサイクロトロン共鳴によって磁場の散逸が起こることを明らかにした。
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